1.木星を追い続ける者
Jupiterの新曲が出た。
315プロダクション設立5周年を記念して発売された5th Anniversaryシリーズ。
3ユニット毎に合計5枚(全員が歌う楽曲を集めたアルバムもあるので正しくは6枚だが)リリースされ、私が敬愛するJupiterは一番最後のアルバムに収録されている。
彼らが歌う楽曲のタイトルは『運命光年』。
初めてこのタイトルを目にした時、少し意外に思った。
なぜなら、彼らが今まで歌ってきた楽曲のほとんどが英語だったからだ。961プロダクションからデビューした時からずっと追いかけているから、間違いないと思う。
運命光年――どんな曲なんだろうか。今までと全く違う系統の曲かもしれない。
期待と少しの不安が入り交じる中、再生ボタンを押した。
まず最初にバラード調のイントロが流れる。ここで覚悟を決める。Jupiterでバラード調の楽曲が来た場合、彼らの今までの軌跡を振り返る事が多く高確率で泣いてしまうのだ。
イントロが終わり歌声が聞こえる。歌い出しは冬馬か、と少し安心しながら歌詞カードを確認した。
「さあ隣の銀河でも 手に入れてみせようか」
銀河とは大きく出たな。世界を飛び出して宇宙までも通り越して銀河まで手に入れようなんて、どこまでも前へ進んでいくJupiterらしい歌詞ではないか。
そのまま1番まで聴いたところで、気になる点がいくつかあったのでネットで調べてみた。
まず、「射手座の弓」という言葉。射手座の守護星は木星だという。星占いとかあまり詳しくないため難しい事は分からないが、要は木星と射手座はとにかく相性が良くエネルギーに満ち溢れているということらしい。弓というのは勿論、射手座のモデルと言われているケイローンが持つ弓のことだろう。
引っかかるのは、木星と相性が最高である射手座の弓を「要らない」と言って部分だ。なんとなくだが、業界大手の芸能事務所である961プロダクションを抜けて、自分たちの力だけでトップアイドルを目指そうとしている彼ら自身の事を表現しているように思える。Jupiterが961プロを抜け出した理由は分からないので推測でしかないが。
次に、「138億の空」について。諸説あるが宇宙が誕生したのが138億年前らしい。138億年前なんて想像もつかないが、その時にビックバンが起こり宇宙が誕生し、そして現在に至るまで数多くの星々が生まれたのだろう。デビュー当時から注目されて瞬く間に人気になったJupiterという一つの宇宙が、315プロダクションに移籍したことで新たな仲間という星々を得て再スタートしたことを歌っているように感じた。
そして、「始まった恋の在り処」。961プロ時代の「恋をはじめよう」という楽曲のことを思い出した。そうか、これはラブソングなんだな。315プロに移ってからも多くの楽曲がリリースされたが、純粋なラブソングは初めてではないか。光年レベルで相手への愛を表現するなんて流石Jupiterとしかいえなかった。
最後まで聴き終え、もう一度歌詞カードを見直してみた。
運命光年なんてタイトル、Jupiterじゃないと付けられないくらいスケールが大きいように感じた。というか、この言葉を思いついた人に金一封包みたい。
やっぱりJupiterは最高のユニットだ、次にライブがあったら絶対に現地に行こう!なんて考えながら眠りについた。